24年ぶりに日本に帰ってきた男が、こりゃタマゲタ!ヘンだ!と叫んだとたんキゼツする話

その1


2016年 正月 代表 天田透





帰ったのが(2012年)24年ぶりといったって、はじめの数年を除けば年に1-2回、一時帰国はしていたから、10年ほど前から異変には気付いていた。しかし住んでみるとやはり勝手が全然ちがう!タマゲタ!何がってアナタ!日本語がヘン!
いやいや、流行語の類いではアリマセン。昔からある言葉、単語が、以前では考えられないような使われ方をしているという話だ。
NHK、大手新聞(社説、コラム)、評論家の解説、といった“特にきちんとしているはず”の日本語がしょっちゅう、とっっってもヘンだ!妙〜に気取っていて、肝心の内容はといえば、何が言いたいのかさっぱりワカラナイ。言葉を扱うプロがその調子だから、国会中継なんか見られたもんじゃ、あ、政治は前からそうだったか、いやそれにしてもこれは尋常じゃない。

自分がおかしいのかと疑ってみたが(そりゃそうにちがいないけど)、我が家のタイムカプセル“押し入れ”から出てきた一昔前の新聞を読んでみると、何も気にならないどころか、まったく明快ですばらしい。
やはり世の常識が変わっているのだ。
くどいようだが、これは「流行語が日本語を乱す」なんていう話とは質も破壊力も根本的に異なる事象だ。流行語は常に意識して使われるし、新語、造語なら既存の言葉と棲み分けができる。それに、カジュアルな話し言葉が少々どうかなったところで、フォーマルな領域の言葉さえしっかりしていれば心配ない。
しかし、今キケンなのはそっち(フの方)だ。

いったいこの、無意識が全体を包み込むようなモヤモヤ現象は何だ。

なんたってマズイのが「思い」の乱用誤用だ。
無分別に使われ、朝から晩までひっきりなしに目や耳から入ってくる。おかげでこちとらはキョーレツな特定言語アレルギーに悩まされることになった。
そして「思い」以外にも誤用される言葉は増える増えるみるみる増える。

先にも書いたように、おかしいと最初に感じたのは10年位前、2004-5年頃だ。当時から時折周囲の人々に話してはいた。が、まーず相手にされなかったし、言葉のことについて門外漢の自分(音楽家、しかも国外在住)には、それ以上どうすることもできなかった。
しかしあるとき、“音文”両道の達人、山下洋輔さんが「思い」乱用について、ずっと前から警告されていたことを知り、それはそれは嬉しかったのなんのって!後にお会いした際、わくわくしながら、でもおそるおそるそのことを尋ねた。

すぐに日本語の危機を観測する研究会が発足し、共闘作戦が始まった。

会にはスルドイ観察眼を持った方々から様々な情報が寄せられ、詳細且つ偏狭な分析の結果、我々はこの珍現象を宇宙人の仕業であると断定!?宇宙人が何らかの方法で日本人の思考を操り、言葉を撹乱し、コミュニケーションを壊して侵略の準備をしていると考えた。さらに、我々自身はなぜか特異体質であるためその魔法の影響を受けず、その代わりアレルギーに苦しむ、という被害妄想丸出しの説が確立した。

以後、今日までほとんど秘密裏に情報収集と宇宙人に対する反撃を試みてきたわけだが、いかんせん多勢に無勢、まったく勝ち目はない。
勝ち目はないがその間にデーターも蓄積されたことであるし、10年を期に研究内容を一部公開し、同じ体質の仲間を探そうということになり、これを書、、、うわっ!、、、

今も油断した隙にNHKの男性アナウンサーから「〜〜への思いが」という“無自覚無責任音声垂れ流し攻撃”を受けてしまった。☆☁⏎☎※◇ゞ〆!!七転八倒で苦しんでいるところに、こんどは女性アナウンサーが「〜〜は、さらなるナントカが」と追い打ち。うぎゃっ、トドメの一撃でしばしキゼツ ------------ 2016年明けて数分も経たないうちに初キゼツだ。やれやれ。

え、何がイカンのかって?ふつうのことではないかって?
そうでしょうそうでしょう。
まさに!ふつう(響きに流行語のような刺激がない)だから気付かれない!無意識のうちに繰り返され感覚が麻痺する、それが宇宙人のワナなんですから。



ではこの章さいごに、いくつかクイズ形式で実例をどうぞ。


1) スポーツの中継で、アナウンサーが百万回叫 ぶ__は何か。

「選手の1__」「監督の2__」「ファンの3__」「家族の4__」
ヒント:1「闘志、士気、意地」、2「統率力、手腕、葛藤」、3「声援、期待」、4「応援、祈り、支え」などではない。


2) もうひとつスポーツ関連。実際にNHKのインタビュアーが優勝横綱にした質問、5問中4問。

「おめでとうございます、いまどんな__ですか」
「横綱としての初優勝、どんな__ですか」
「初日黒星スタート、どんな__でしたか」
「一人横綱のプレッシャーもあったと思いますが、どんな__でしたか」
ヒント:「気持ち」「気分」「心境」「心構え」ではない。


3) ニュースで行政と地元住民が対立している様子が伝えられる時、普通に考えれば「行政の思惑VS住民の反発/怒り」などだが、こういう逆向きのエネルギーでさえもいっしょくたにしてしまう魔法の言葉「双方の__」とは何か。


4) 指導的立場の人が、政策や信条、理念、判断、責任などというべき場面で、その言葉が浮かばないかごまかしたい時に使う「わたし(たち)の__」、選挙で昔は「声」と言われていた「有権者の__」とは何か。


5) 報道番組などで、冠婚葬祭慶弔吉凶一切おかまいなし、喜び/悲しみ/苦しみ/心配/感謝/すべてこれ一丁!考える必要なし!とばかりに、盲目的狂信的に連発される「あなたの__」「彼(女)の__」「みなさんの__」とは何か。







答え:1) から 5) ぜんぶ「オモイ」


こりゃタマゲタ!がんばれニッポン、だいじょぶかニッポン!

つづく

     天田


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